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文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻5号

2012年10月発行

文献概要

特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 5.ペルオキシソーム

ペルオキシソーム膜タンパク質Pex3pとサイトソルタンパク質Pex19p複合体の三次元構造

著者: 加藤博章1

所属機関: 1京都大学大学院 薬学研究科 構造生物薬学分野

ページ範囲:P.468 - P.469

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 ペルオキシソーム形成には少なくともPex3pとPex19pの二つのペルオキシソーム形成因子が関与している。これらのうち一つが欠けるとペルオキシソームは無論のこと,ペルオキシソーム様の膜構造体も消失してしまう1)。したがって,Pex3pとPex19pの相互作用の仕組みを解明することは,ペルオキシソーム形成を理解するうえで大きな意義を持つ。最近,膜結合性タンパク質であるヒト由来のPex3pの可溶性部位とPex19pのPex3p結合領域ペプチドの複合体の結晶構造が二つのグループから報告された2,3)。特に佐藤らは,明らかになった三次元構造から推定された機能発現に重要なアミノ酸残基を改変することにより,その機能を分子間相互作用に対する影響と細胞におけるペルオキシソーム形成に対する影響を調べ,Pex3pとPex19pの立体構造が大丈夫でも,Pex3pとPex19pの結合を低下させることがペルオキシソーム形成を消失させることを明確にした3)。本稿では,決定されたPex3pとPex19pの三次元構造と原子レベルで明らかとなった相互作用の仕組みについて紹介する。

参考文献

1822:1337-1342, 2012
285:25410-25417, 2010
29:4083-4093, 2010
279:38486-38494, 2004
283:6136-6144, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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