文献詳細
文献概要
特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 6.ファゴソーム
オートファゴソーム成熟にかかわる膜輸送メカニズム
著者: 伊藤敬1 福田光則1
所属機関: 1東北大学大学院 生命科学研究科 膜輸送機構解析分野
ページ範囲:P.492 - P.493
文献購入ページに移動リソソームは通常の膜輸送(ここではオートファジーではないという意)の機構により他のオルガネラ,主に後期エンドソームからの物質の輸送を常に受けており,運ばれてきたタンパク質や脂質などの分解を行っている。その過程を制御するメカニズムに関しては,例えばEGF受容体などの分解といったいわゆる「エンドサイトーシス経路」の解析から詳しく明らかにされてきており,SNARE,Rabといった様々な膜輸送を制御する因子が同定されている。オートファゴソームというオルガネラは特殊な形成過程を経るため,リソソームとの融合に既存の膜融合機構を利用しているのか,それとも特異的な融合機構を持ち合わせているのかが長らく論議されてきた。近年,エンドソーム機能を担うタンパク質群やエンドソーム-リソソーム融合機構を担うタンパク質群が,オートファゴソーム-リソソームの融合にも寄与することが明らかになり始め,エンドソーム-リソソーム融合機構と,オートファゴソーム-リソソーム融合機構は多くの部分でそのメカニズムを共有すると考えられている1)。本稿では,近年少しずつ明らかになってきたオートファゴソームの成熟機構のなかでも,哺乳動物のオートファゴソーム-リソソーム間の融合に働く分子メカニズムについて最近の知見を紹介する。
参考文献
掲載誌情報