文献詳細
文献概要
特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 6.ファゴソーム
アクチン結合性タンパク質Coronin-1aによる結核菌ファゴソームへのオートファゴソーム形成阻害機構
著者: 瀬戸真太郎1 辻村邦夫1 堀井俊伸1 小出幸夫1
所属機関: 1浜松医科大学 感染症学講座
ページ範囲:P.494 - P.495
文献購入ページに移動Coronin-1aはCoroninファミリー遺伝子に属するアクチン結合性タンパク質である1)。Coroninファミリー遺伝子は酵母から哺乳類まで多くの真核生物に保存されている。Coroninは粘菌のアクチン/ミオシン複合体に結合するタンパク質として単離されて,粘菌細胞の王冠状突起に局在することからCoroninと命名された。Coroninはアクチンの枝分かれ構造に機能するArp2/3複合体と結合することによって,Arp2/3のアクチン繊維からの離脱を制御している。粘菌や酵母ではCoroninは1遺伝子しか存在しないが,ヒトやマウスでは7遺伝子存在する。
結晶構造解析2)などによってCoronin-1aの立体構造は明らかになっている。N末端側は7枚のβプロペラによって構成されている。これらのβプロペラは五つのWDリピートと,その後に続く二つのβシート構造から形成されている。C末端側はコイルドコイル構造によって構成されている。このコイルドコイル構造によってCoronin-1aは三量体を形成している。さらに,C末端側でアクチン繊維と結合する。
参考文献
掲載誌情報