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特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 6.ファゴソーム
膵腺房細胞(膵外分泌細胞)におけるオートファジーの役割と制御機構
著者: 大村谷昌樹1 廣田昌彦2
所属機関: 1熊本大学 生命資源研究・支援センター 2熊本市地域医療センター
ページ範囲:P.502 - P.503
文献購入ページに移動膵臓は外分泌機能と内分泌機能が混合した臓器であるが,トリプシノーゲンを含む様々な消化酵素前駆体を合成,分泌する外分泌機能を担うのが膵腺房細胞であり,膵臓の体積の95%を占めている。
最もよく知られているオートファジーの機能は飢餓適応であるが,膵腺房細胞においても飢餓に伴いオートファジーが誘導され,消化酵素前駆体を含むザイモジェン顆粒が減少することが確認されている1)。定常時の細胞内代謝回転における低いレベルのオートファジーが肝細胞や神経細胞で着目されている2)。肝臓特異的にオートファジーをノックアウトしたマウスにおいて,ユビキチン陽性の細胞内凝集体が肝細胞内に形成されることが報告されているが2),膵腺房細胞で特異的にオートファジーを欠損させた場合,オートファジーの特異的基質として知られているp62蛋白の蓄積2)はみられるものの異常蛋白の蓄積などはみられず,明らかな異常は確認されないことから3),臓器または細胞の違いによって定常的なオートファジーの重要性は異なり,それが何に起因しているのか興味深い。
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