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特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官 8.膜小胞と封入体
正常海馬にみられるmicroscopic globular body
著者: 小田桐紗織1 若林孝一2
所属機関: 1弘前大学大学院 医学研究科 神経解剖・細胞組織学講座 2弘前大学大学院 医学研究科 脳神経病理学講座
ページ範囲:P.530 - P.531
文献購入ページに移動Microscopic globular body(MGB)はヒト正常脳に認められる好酸性円形小体(eosinophilic globular body)として,わが国の原によって1981年に報告された構造物である1)。光学顕微鏡下ではヘマトキシリン-エオジン染色で好酸性,均一に染まる径約1-10μmの球形の構造物であり,加齢とともに大きさは増大する(図)2)。大脳灰白質に分布するが,特に前頭・側頭葉皮質,海馬に多い。この小体はgranular osmiophilic body,dense microsphere,spheronとも呼ばれる。
ヒトでは1歳から99歳まで幅広い年齢層に認められる。ヒト正常対照脳(側頭葉新皮質)における定量的検討では,MGBの密度は20歳から69歳まではほぼ一定の値を示し,70歳以上では有意に低下する3)。この点で加齢とともに増加する構造物,例えば海馬に出現する平野小体,顆粒空胞変性などとは趣を異にする。
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