icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻6号

2012年12月発行

特集 リンパ管

集合リンパ管の再生とリンパ流の効果

著者: 大橋俊夫1 河合佳子1 伊古美文隆2

所属機関: 1信州大学 医学部 器官制御生理学 2自衛隊横須賀病院

ページ範囲:P.577 - P.583

文献概要

 リンパ管系は微小循環という視点から見ると,生命維持の基本である内部環境の恒常性維持のために毛細血管・細静脈が血流を介して行っている物質交換の補助的器官であるが,内部環境の生体防御のための恒常性維持という視点,すなわち免疫機構の観点から見れば,リンパ管系こそが真にその機能の王道としての働きを担っている。最近,その免疫機構のうち,特に自然免疫機構の維持に細静脈-組織間隙-リンパ管系を通る血漿アルブミンの再循環機構1)や微小リンパ管壁2,3)やリンパ節4,5)を介するリンパ液のアルブミン濃縮機構の役割が注目され,その生理・病態生理学的意味付けの解明が進んでいる。

 一方,本特集の主題である腫瘍や炎症肉芽組織形成における毛細リンパ管新生現象は,その制御因子である成長因子vascular endothelial growth factor(VEGF)CのAlitalo6,7)らの発見に触発され,現在,世界中で活発に研究が行われている。その反面,臨床医学的に多用されている癌の転移したリンパ節やそれに結合した輸入や輸出の集合リンパ管の郭清後におけるその集合リンパ管の再生,あるいはリンパ流路の再疎通の仕組みについての解明はほとんど行われていなかったのが現状である。そこでわれわれの研究グループはここ十数年来,① リンパ節摘出後のリンパ流の再疎通現象8),② 集合リンパ管の再生機構の解明9),③ 集合リンパ管の遺伝子発現を介した生理機構に及ぼすリンパの流れ10,11)の影響について体系的に解析してきたので,本稿ではその研究成果についてわかりやすく解説したいと考えている。

参考文献

14:243-249, 1977
289:H1676-1682, 2005
3)Kawai Y, Kaidoh M, Yokoyama Y, Ohhashi T:submitted for publication.
(Lond)345:1-14, 1983
243:H351-359, 1982
1:219-227, 2002
82:673-700, 2002
13:365-376, 2006
15:591-603, 2008
298:C647-C655, 2010
103:1245-1252, 2012
118:163-171, 1976
48:133-141, 1998
6:333-345, 2004
115:2316-2319, 2005
5:115-126, 2007
6:15-27, 2008
53:157-163, 2003
264:H1460-H1464, 1993
92:801-808, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら