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文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻6号

2012年12月発行

文献概要

解説

霊長類の大脳皮質視覚野と連合野で顕著に発現する遺伝子の機能的意義

著者: 山森哲雄1

所属機関: 1基礎生物学研究所 脳生物学研究部門

ページ範囲:P.592 - P.598

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 大脳新皮質(以下大脳皮質と略記)は6層構造からなる哺乳類固有の構造である。最も基本的な問題として,大脳皮質は全体として機能するのか(全体論),それとも機能的な領域に分けられるのか(局在論)という議論があったが,まず解剖学的解析から組織学的構築が大脳皮質の各部域ごとに異なることが明らかになった1-3)。このなかで特に有名なのはBrodmannの一連の研究であるが,彼は50以上の哺乳類の大脳皮質の細胞構築像を調べ,その結果52の基本的構造があり,ヒトでは48領野に分けられることを示した1,4)。Brodmannらによって大脳皮質の各部域が異なる組織構築の違い(領野)が示されてからも,しかし,なお半世紀ほどはそれらの機能的意義はよくわからなかった。一方,生理学的な機能の局在を探る研究から,HubelとWieselらの一次視覚野での研究に引き続いて大脳皮質各領野で機能的局在が次第に明らかになり5),大脳皮質領野の解剖学的研究と生理学的研究が統合されたことにより,大脳皮質の研究がここ半世紀余りの間に急速に進んだ。

 大脳皮質は複雑に折れ曲がった皺を形成し,頭蓋の中に収容されている6層構造から成る1枚のシートである。各感覚系からの入力は視床を介して大脳皮質で統合される。大脳皮質で統合整理された情報は最終的に運動野に送られ,運動野からの下降路を経て筋肉へと出力されることにより運動行動へと変換される。したがって,大脳新皮質領野は感覚情報の入出力を統合制御するのに重要な役割を果たしている。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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