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文献詳細

雑誌文献

生体の科学63巻6号

2012年12月発行

文献概要

仮説と戦略

自律神経系の形成における血管の役割

著者: 齋藤大介1 高橋淑子12

所属機関: 1奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 分子発生生物学講座 2京都大学大学院 理学研究科 生物科学専攻動物学系

ページ範囲:P.606 - P.611

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 われわれの体には,外部環境の変化(ストレス)によって一時的に体温や血圧などが変化しても,じきにそれらを元の状態へと戻す能力が備わっている。このような機能はホメオスタシス(恒常性の維持)と呼ばれ,生命を維持するうえで欠かせない。ホメオスタシスを実際的に調節する組織は効果器としての心筋,内臓平滑筋,血管平滑筋,および立毛筋などであり,これらが適切に働くこと(収縮や弛緩・拡張など)によって,血流量や代謝などが制御されている。効果器の働きを上流で制御しているものとして,自律神経系と内分泌系がある。自律神経は神経伝達物質を,また,内分泌器官はホルモンを標的器官に届けることでその制御を行っている。つまり自律神経系と内分泌系はホメオスタシスの司令塔といってよい。なかでも重要な役割を果たすのが交感神経(sympathetic neuron)と副交感神経(parasympathetic neuron),そして内分泌器官と交感神経の両方の性質を併せ持つ副腎(adrenal gland)である。本稿では,交感神経と副腎が胚発生の過程でどのように作られるのかについて,われわれが見出した最新の知見を中心に概説する1)

参考文献

336:1578-1581, 2012
2)Le Douarin NM, Kalcheim C:The Neural Crest(2ed), Cambridge Univ Press, Cambridge, 1999
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132:4611-4619, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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