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文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻1号

2013年02月発行

文献概要

特集 神経回路の計測と操作

報酬に基づく学習にかかわる神経回路の詳細な理解に向けて:オプトジェネティクスおよび新しい神経回路トレーサーの役割

著者: 内田光子1 内田直滋1

所属機関: 1

ページ範囲:P.3 - P.8

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 脳の様々な機能は,多様な神経細胞(ニューロン)が複雑に結合し合い形成される神経回路がもとになっている。これまで,脳の働きの原理を明らかにするうえで,ニューロンの活動を電気生理学的に記録する実験が重要な役割を果たしてきた。しかし,このような実験で,記録している細胞の種類やシナプス結合している相手を知ることは技術的に困難であり,神経回路レベルでメカニズムを理解する妨げとなってきた。近年,電気生理学的手法とオプトジェネティクス,およびウイルスを用いて神経回路を標識する方式を組み合わせることにより,このような限界が克服されようとしている。本稿では,このような新しい方法を用いて行った,動物が報酬に基づいて学習するメカニズム(強化学習)に関する研究を紹介する。

 単一ニューロンの活動を記録すると,脳のいろいろな領域が異なった活動を示すのに加えて,一つの領域からも様々な活動が記録されることに気がつく。一つの脳の領域は,通常,様々な細胞種の集まりである。それぞれの細胞種は例えば,神経伝達物質や遺伝子発現によって分類することができる。あるいは,発現している分子や細胞形態がそっくりであっても,その投射先や受けるシナプス入力が違っているかもしれない。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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