icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻1号

2013年02月発行

文献概要

特集 神経回路の計測と操作

単一スパインでの情報伝達の可視化

著者: 西山潤1 安田涼平12

所属機関: 1デューク大学メディカルセンター 2マックスプランク・フロリダ研究所

ページ範囲:P.9 - P.13

文献購入ページに移動
 神経細胞間の接続部であるシナプスにおいて,一つの神経細胞は1,000-10,000個の入力を受け,それらの情報を軸索に出力する。ほとんどの興奮性神経細胞の入力はスパインと呼ばれる0.1 fl以下の小さな突起様構造で受け取られ,シナプスにおける情報伝達の機能単位となっている。

 シナプスの長期増強(long-term potentiation;LTP)は記憶・学習の細胞モデルであり,その分子機構はこれまで盛んに研究されてきた。現在では,神経活動に伴ってスパインへCa2+が流入することが引き金となり,Ca2+/Calmodulin kinase Ⅱ(CaMK Ⅱ),Ras,Rho,Rabなどのsmall GTPase,extracellular signal-related kinase(ERK)など,多数の分子が関与することがわかっている。しかし,従来の生化学的手法では時間的・空間的な制約が大きく,一つのスパインに入力された信号がどのような機構でLTPに変換されていくのかほとんど明らかにされていなかった。本稿では単一スパインでの情報伝達の可視化を可能にするイメージング技術の進歩,およびそれによって明らかになったシナプス可塑性の時空間制御機構について述べる。

参考文献

4(11):1086-1092, 2001
50:823-839, 2006
429(6993):761-766, 2004
16:551-561, 2006
3(3):175-190, 2002
25:3107-3112, 2005
458(7236):299-304, 2009
321:136-140, 2008
472(7341):100-104, 2011
450:1195-1200, 2007
107(36):15951-15956, 2010
64:381-390, 2009
69:132-146, 2011
4(10):a005611,:2012
21(2):313-321, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?