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特集 神経回路の計測と操作
トランスシナプス標識法と嗅覚系神経回路への応用
著者: 宮道和成1
所属機関: 1スタンフォード大学生物学部Liqun Luo lab
ページ範囲:P.24 - P.28
文献購入ページに移動神経回路を記述する理想的な手法は局所的な神経接続だけでなく,脳の全域におけるシナプス接続のパターンを対象としなくてはならない。さらに,安全性(動物にとって病的な環境を作り出さないこと・実験者にとってバイオセーフティー上のリスクがないこと),汎用性(様々な脳領域,細胞の種類,生物種に用いられること),簡便性(各研究室で容易に実施できること・ハイスループット化できること)も求められる。変異型の狂犬病ウイルス(rabies virus;RV)はこのようなニーズを満たすものである。われわれの開発した手法は,任意の脳領域の遺伝学的に同定可能な神経細胞から出発して,その一段階上流のシナプス前細胞群を特異的に標識できる。この標識は局所的な神経回路に限らず,長距離の軸索を経たシナプス接続をも可視化するものである。本稿では,RVを用いたトランスシナプス標識法の最近の動向を解説し,マウスの嗅覚系をモデルとした神経回路の研究について紹介する。
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