文献詳細
文献概要
特集 神経回路の計測と操作
記憶痕跡の可視化と操作
著者: 松尾直毅1
所属機関: 1京都大学 白眉センター
ページ範囲:P.36 - P.40
文献購入ページに移動 記憶は脳内のどこで,どのような形で蓄えられるのであろうか。この素朴で本質的な疑問を解き明かす鍵は“記憶痕跡(memory engramもしくはmemory trace)”にあると思われる。記憶痕跡とは経験・学習により脳内に残された何らかの持続的な変化・足跡と定義することができる。つまり記憶という目に見えない実体の捉え難いものを自然科学の言葉で説明するためには,この記憶痕跡という物質的基盤を理解することが有力なアプローチとなると考えられる。これまでに多くの研究者が記憶痕跡を明らかにするため多様な手法を用いて研究を積み重ねてきたが,近年の分子遺伝学,生理学,行動心理学,イメージングなどの融合的研究により,大きな進展がみられるようになった。本稿では主に齧歯類を用いた最近の研究知見を紹介したい。
参考文献
4:454-482, 1950
23:229-232, 1999
400:671-675, 1999
237:192-197, 1987
329:441-442, 1987
274:1678-1683, 1996
319:1104-1107, 2008
317:1230-1233, 2007
2:1120-1124, 1999
316:457-460, 2007
323:1492-1496, 2009
12:1438-1443, 2009
484:381-385, 2012
63:27-39, 2009
256:675-677, 1992
304:881-883, 2004
305:96-99, 2004
147:678-689, 2011
19)Hebb DO:The Organization of Behavior, Wiley, New York, 1949
掲載誌情報