文献詳細
解説
―文部科学省科学研究費・新学術領域研究―「メゾスコピック神経回路から探る脳の情報処理基盤」がめざすもの
著者: 能瀬聡直1
所属機関: 1東京大学大学院 新領域創成科学研究科
ページ範囲:P.80 - P.87
文献概要
分子や細胞,すなわち物質の集合にすぎない脳になぜ情報処理機能が出現するのかは,生命科学最大の謎の一つです。この謎に迫るには,近年進展している分子・細胞などの脳の物質基盤を対象とするミクロレベルの研究や,脳の各領域を対象とするマクロレベルの研究だけでは困難だと私たちは考えています。なぜなら,ミクロとマクロとの中間の未開拓なメゾスコピックレベルにおいて,謎の本質にかかわる現象,すなわち,「物質基盤から情報基盤への変換による情報処理システムの創出」が起こるからです。そこで,本領域では比較的少数のニューロン集団からなり追跡可能な規模を持つようなメゾ回路を脳から可視化・抽出し,その作動原理を追求することにより,脳の情報処理基盤を探っています(図1)。
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