icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻2号

2013年04月発行

特集 特殊な幹細胞としての骨格筋サテライト細胞

筋サテライト細胞の活性化

著者: 長田洋輔1 松田良一1

所属機関: 1東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系

ページ範囲:P.139 - P.143

文献概要

 成体の骨格筋は安定な組織であり,上皮組織でみられるような日常的な細胞の入れ替わりは起こらないが,損傷などを受けた場合には目覚ましい再生能を発揮する。骨格筋の再生能を担うのは筋サテライト細胞である。筋サテライト細胞とは筋線維に密着し,基底膜によって筋線維とともに包まれる単核の細胞のことであり,解剖学的な位置関係から名前が付けられた1)。平静時の骨格筋に存在する筋サテライト細胞はヘテロクロマチンに富む核を持ち,細胞質はわずかでオルガネラも少なく2),細胞分裂を停止している3)。これらの特徴から休眠状態にあると考えられている。筋線維に過負荷や損傷,伸展刺激などが加わることによって筋サテライト細胞は活動を開始する4)。活動を開始した筋サテライト細胞は損傷部位に遊走し,細胞分裂を繰り返して多数の筋前駆細胞を産出する。骨格筋における筋サテライト細胞核の割合はわずか数パーセント程度にすぎない2,3)が,一つの筋サテライト細胞が供給できる筋前駆細胞は数千にも及ぶ5,6)。その後,筋前駆細胞は最終分化の過程に移行し,細胞融合によって損傷筋線維の修復や新たな筋線維の形成を行う(図1)。

 休眠状態の筋サテライト細胞が活動を開始する過程は活性化と呼ばれる。成体で起こる骨格筋形成(筋再生,損傷修復や筋肥大など)は筋サテライト細胞の活性化によってスタートする。筋サテライト細胞の活性化は,細胞質の肥大や多種多様な遺伝子の発現を伴うダイナミックな過程である。

参考文献

9:493-495, 1961
4:234-245, 1981
206:451-456, 1978
84:209-238, 2004
281:39-49, 2002
122:289-301, 2005
115:140-147, 1986
230:677-688, 1983
115:129-139, 1986
194:114-128, 1998
11:1859-1874, 2000
30:654-658, 2004
267:107-114, 2001
275:C260-266, 1998
7:36-41, 2002
34:313-319, 2006
40:2183-2191, 2008
296:C922-929, 2009
81:11-20, 2010
5:145-158, 1994
181:499-506, 1999
21:S173-180, 1989
118:601-611, 1993
158:549-554, 1993
15:4544-4555, 2004
53:201-216, 1991
27:195-200, 2001
18:905-911, 1976
190:125-133, 1993
157:326-332, 1993
313:341-356, 2007
283:C204-211, 2002
123:108-113, 1994
20:815-822, 1997
21:819-822, 1998
202:1688-1696, 1994
98:9306-9311, 2001
162:1135-1147, 2003
1:31-39, 2000
58:2053-2068, 2001
4:397-407, 2003
365:557-560, 1993
279:1552-1555, 1998
54:375-384, 2006
174:245-253, 2006
7:e37218, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら