文献詳細
特集 特殊な幹細胞としての骨格筋サテライト細胞
文献概要
成体の骨格筋は安定な組織であり,上皮組織でみられるような日常的な細胞の入れ替わりは起こらないが,損傷などを受けた場合には目覚ましい再生能を発揮する。骨格筋の再生能を担うのは筋サテライト細胞である。筋サテライト細胞とは筋線維に密着し,基底膜によって筋線維とともに包まれる単核の細胞のことであり,解剖学的な位置関係から名前が付けられた1)。平静時の骨格筋に存在する筋サテライト細胞はヘテロクロマチンに富む核を持ち,細胞質はわずかでオルガネラも少なく2),細胞分裂を停止している3)。これらの特徴から休眠状態にあると考えられている。筋線維に過負荷や損傷,伸展刺激などが加わることによって筋サテライト細胞は活動を開始する4)。活動を開始した筋サテライト細胞は損傷部位に遊走し,細胞分裂を繰り返して多数の筋前駆細胞を産出する。骨格筋における筋サテライト細胞核の割合はわずか数パーセント程度にすぎない2,3)が,一つの筋サテライト細胞が供給できる筋前駆細胞は数千にも及ぶ5,6)。その後,筋前駆細胞は最終分化の過程に移行し,細胞融合によって損傷筋線維の修復や新たな筋線維の形成を行う(図1)。
休眠状態の筋サテライト細胞が活動を開始する過程は活性化と呼ばれる。成体で起こる骨格筋形成(筋再生,損傷修復や筋肥大など)は筋サテライト細胞の活性化によってスタートする。筋サテライト細胞の活性化は,細胞質の肥大や多種多様な遺伝子の発現を伴うダイナミックな過程である。
休眠状態の筋サテライト細胞が活動を開始する過程は活性化と呼ばれる。成体で起こる骨格筋形成(筋再生,損傷修復や筋肥大など)は筋サテライト細胞の活性化によってスタートする。筋サテライト細胞の活性化は,細胞質の肥大や多種多様な遺伝子の発現を伴うダイナミックな過程である。
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掲載誌情報