icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻2号

2013年04月発行

文献概要

特集 特殊な幹細胞としての骨格筋サテライト細胞

骨格筋幹細胞による筋ジストロフィーの治療

著者: 本橋紀夫1 朝倉淳1

所属機関: 1ミネソタ大学医学部 幹細胞研究所 ポール&シェイラ・ウェルストーン筋ジストロフィーセンター 神経内科

ページ範囲:P.144 - P.148

文献購入ページに移動
 筋ジストロフィーとは筋線維の変性・壊死を主病変とし,筋再生を繰り返しながら次第に筋萎縮および筋力低下を呈する遺伝性疾患である。Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は,最も頻度が高く,出生男子の約3,500人に1人の割合で発生する,重症かつ進行性の遺伝性筋疾患である1)。DMD患者はX染色体短腕に存在するジストロフィン遺伝子に変異を持つため,ジストロフィン蛋白質が形成されない2,3)。筋細胞膜直下に局在するジストロフィンの欠損により,筋形質膜が機械的な刺激に対して脆弱であることがDMDの主病因であると考えられる。現在DMDに対する根本的治療法は見つかっていないが,1990年代初期からDMD患者に対する治療法の一つとして,ジストロフィンを発現する細胞を移植することが試みられている。当初,筋サテライト細胞を培養して得られる筋芽細胞移植が試みられたが,治療まで直結できるような効果は得られなかった。その後,筋芽細胞に代わる新たな移植細胞源として,骨格筋分化能を有する様々な幹細胞が用いられ,現在研究が行われている。

 本稿では,DMDに対するこれまで行われてきた細胞移植治療を解説したうえで,細胞移植源として期待されている新たな幹細胞を用いたDMD治療に関する最新の知見を紹介する。

参考文献

1:19-29, 1991
323:646-650, 1986
328:434-437, 1987
337:176-179, 1989
104:16552-16557, 2007
191:347-365, 2010
7:e41736, 2012
96:14482-14486, 1999
401:390-394, 1999
159:123-134, 2002
34:44-52, 2006
175:99-110, 2006
173:781-791, 2008
341:864-873, 2006
114:182-195, 2004
147:869-878, 1999
129:2773-2783, 2002
9:255-267, 2007
444:574-579, 2006
333:644-649, 2005
13:642-648, 2007
14:134-143, 2008
26:1865-1873, 2008
10:610-619, 2012
7:e47078, 2012
23:1907-1919, 2009
24:2245-2253, 2010
467:285-290, 2010
29:505-516, 2011
1:646-657, 2007
3:96ra78, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら