文献詳細
特集 特殊な幹細胞としての骨格筋サテライト細胞
筋疾患治療へのサテライト細胞の利用
著者: 伊藤尚基12 鈴木友子1 武田伸一1
所属機関: 1国立精神・神経医療研究センター神経研究所 遺伝子疾患治療研究部 2東京工業大学大学院 生命理工学研究科 生命情報専攻
ページ範囲:P.162 - P.167
文献概要
DMDはジストロフィン・タンパク質(dystrophin)をコードするジストロフィン遺伝子の変異によって発症する。骨格筋細胞膜には細胞外基底膜と細胞内骨格を繋ぐジストロフィン糖タンパク質複合体が存在し,運動などによって生じる機械的な負荷に対して,筋線維を保護する役割を持っている。ジストロフィン遺伝子の変異によるジストロフィン・タンパク質の欠損によって,ジストロフィンのみならず,ジストロフィン糖タンパク質複合体が骨格筋細胞膜から消失する。その結果,骨格筋細胞膜が負荷に対して脆弱になり,筋変性や筋壊死が引き起こされる。DMDの多くはDNA配列の欠失や挿入により,変異したジストロフィン遺伝子から転写されるmRNAのアミノ酸読み取り枠にずれが生じるアウト・オブ・フレーム変異により発症する。しかし,イン・フレーム変異によって,短縮したジストロフィンが発現する場合は,より軽症であるベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy;BMD)と呼ばれる表現型をとる。
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