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特集 細胞接着の制御
基材の構造力学的性質による細胞機能の制御
著者: 荏原充宏1 宇都甲一郎1 青柳隆夫1
所属機関: 1独立行政法人 物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
ページ範囲:P.194 - P.198
文献購入ページに移動物理化学的要因としては,温度,pH,荷電,電場,磁場,O2およびCO2濃度,表面エネルギーなどが挙げられる。例えば酸素濃度を低下させることで間葉系幹細胞(MSC)の未分化状態を維持し増殖を促進できることが報告されている2)。また,MSCの温度上昇に伴うアポトーシス活性の減少や,心筋細胞の電気刺激に応答した収縮などが知られている3)。温度や電場,磁場などの刺激に関しては,時間・空間的に自在に制御することは可能ではあるが,特別な装置のセットアップが必要である。これらの要因に加えて,近年幹細胞nicheの研究などから,弾性率,マイクロ・ナノトポグラフィー,張力,シェアストレス,ポアサイズなどの構造力学的要因が細胞の増殖・分化,細胞周期,細胞運動などに極めて重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた4)。本稿では,これらの構造力学的要因を時空間的に制御可能なスマートマテリアルの設計と細胞機能制御について概説する。
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