文献詳細
文献概要
特集 細胞接着の制御
Rhoグアニンヌクレオチド交換因子によるタイト結合の制御
著者: 伊藤雅彦1
所属機関: 1獨協医科大学 生化学講座
ページ範囲:P.220 - P.225
文献購入ページに移動 上皮細胞が相互作用して形作るシート状の上皮組織は,生体の内外を隔て,様々な臓器・器官を構築し,各々に固有な生理機能を可能にする,多細胞生物にとって極めて重要な基本要素の一つである。シート状構造の形成には上皮細胞間の頂端部に存在する細胞間接着複合体(apical junctional complex)の存在が必須である1)。Apical junctional complexを構成するタイト結合とアドヘレンス結合は共に細胞内でアクチン・ミオシンフィラメントと連結し,それぞれに特異的機能を発揮して上皮組織シート状構造の形成・維持において中心的な役割を果たしている2)。このうちタイト結合は細胞間の最も頂端部に位置し,隣接する細胞の細胞膜同士を密着させ,水・イオンなどの小分子から細菌・細胞といった生命体まで様々な物質の細胞間透過を制御する選択的バリアとして機能する。同時にまた,個々の細胞を管腔に面する頂端側(apical)と側基底部側(basolateral)に区画化して極性を確立するフェンスとして作用する。タイト結合がこうした働きするためにはアクチン・ミオシンフィラメントとの相互作用が必要不可欠であること,Rhoシグナル経路が関与することが示されてきたが,近年その調節分子機構の実体がより詳しく明らかにされてきている。本稿ではRhoシグナル経路によるタイト結合および連結するアクチン・ミオシン細胞骨格の制御に関する研究について,最近の筆者らの成果3)を中心に概説する。
参考文献
9:887-901, 2008
1778:660-669, 2008
109:9905-9910, 2012
2:285-293, 2001
20:142-149, 2010
13:6662-6681, 2008
92:10629-10633, 1995
142:101-115, 1998
14:1129-1142, 2009
121:566-579, 2001
119:2095-2106, 2006
8:777-786, 2005
195:245-261, 2011
13:159-166, 2011
138:181-192, 1997
126:741-754, 2006
19:3801-3811, 2008
277:24855-24858, 2002
158:41-49, 2009
54:266-276, 2012
13:1129-1133, 2003
149:1084-1097, 2012
掲載誌情報