文献詳細
文献概要
特集 細胞接着の制御
Wnt 5aシグナルによる細胞の極性と遊走・接着の制御
著者: 松本真司1 菊池章1
所属機関: 1大阪大学大学院 医学系研究科 分子病態生化学
ページ範囲:P.226 - P.231
文献購入ページに移動 Wntは分子量約4万の分泌性糖蛋白質で,ショウジョウバエから哺乳動物に至るまで生物種を超えて保存され,初期発生や形態形成,出生後の細胞の増殖・分化・運動などを制御する。Wntシグナル伝達経路にはβ-カテニンを介して遺伝子発現を制御するβ-カテニン経路と,β-カテニン経路とは独立して主として細胞骨格系を制御するβ-カテニン非依存性経路が存在する。Wnt 5aはβ-カテニン非依存性経路を活性化する代表的なリガンドであり,細胞の極性や運動,接着など多彩な細胞応答を制御する。Wnt 5aのノックアウトマウスは顔面や四肢,尾の短縮や肺および心臓の形成異常といった多彩な表現型を呈して胎生致死となることから,発生過程におけるWnt 5aシグナルの重要性が明らかになってきた。さらにWnt 5aシグナルの過剰な活性化が細胞の接着や運動の制御を介してヒトがんの悪性化にも密接に関与することが明らかになりつつある。本稿ではWnt 5aが細胞の極性や運動,接着を制御する分子機構について,筆者らの研究結果や最近の知見を概説する。
参考文献
291:21-71, 2011
204:17-33, 2011
8:126-138, 2007
2:695-706, 2002
21:120-133, 2011
12:779-792, 2007
5:367-377, 2003
306:121-133, 2007
20:163-176, 2011
162:889-898, 2003
417:295-259, 2002
1:279-288, 2001
23:131-139, 2002
129:1782-1789, 2009
175:555-562, 2006
283:27973-27981, 2008
178:355-361, 2007
320:365-369, 2008
420:629-635, 2002
3:69-75, 2002
402:515-523, 2007
66:10439-10448, 2006
29:1192-1204, 2010
15:40-47, 2003
3:859, 2012
28:3197-3208, 2009
29:2036-2046, 2010
137:242-252-252. e1-6, 2009
97:91-98, 2006
125:4822-4832, 2012
掲載誌情報