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特集 細胞接着の制御
細胞の接着・遊走を司る偽足突起の単離とプロテオミクス―先端レーザー微細加工技術の応用
著者: 伊藤彰彦1 萩山満1 細川陽一郎2
所属機関: 1近畿大学医学部病理学教室 2奈良先端科学技術大学院大学
ページ範囲:P.244 - P.248
文献購入ページに移動細胞接着・遊走が病変形成の鍵となっている最も典型的,かつ医学的に重要な局面は,癌が浸潤し転移するという現象である。癌の浸潤・転移に関する分子機序についてはまだ不明な点が多いが,最近の研究成果によると,癌浸潤の初期段階における上皮-間葉移行(epithelial-mesenchymal transition)能の獲得とそれに伴う遊走能の上昇が重要視されている。癌細胞が上皮性の性格を失い間葉系細胞の性格を獲得することにより,基底膜を越えて浸潤し,結合織内を遊走するとの考え方である。癌細胞の遊走能を規定する重要な要素は種々の走化性因子に対する反応性であり,癌細胞は走化性因子の濃度勾配に従って,細胞質を突起状に伸長することにより,その方向へと移動する。この構造物は偽足突起と呼ばれ,癌細胞が細胞外基質と接着し結合織内を浸潤性に遊走するために必須の構造物と考えられている。
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