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特集 予測と意思決定の神経科学
報酬・忌避行動と意思決定における大脳基底核神経回路機構
著者: 疋田貴俊1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科 メディカルイノベーションセンター
ページ範囲:P.314 - P.318
文献購入ページに移動 われわれは周囲の感覚入力と今までの経験を基に,次に身に降りかかる事象を予測し,その予測に基づいて意思決定を行っている。特に,報酬・忌避シグナルを予測し意思決定を行う報酬行動・忌避行動は強化学習を伴う大脳基底核機能として研究が進められている1,2)。報酬および報酬予測に対しては腹側被蓋野のドーパミン細胞がバースト発火をし,側坐核にドーパミンが放出される3)。一方,忌避刺激とその予測あるいは報酬予測に合わない無報酬の結果に対しては腹側被蓋野の多くのドーパミン細胞が一時的に発火を止める4)。すなわちドーパミン細胞が報酬予測に対して発火パターンを変え,また,予測誤差を検出することによって強化学習を行っていることが明らかになってきている5)。それに対してドーパミンの受け手である側坐核ではどのような情報伝達を行い,予測に基づく意思決定行動へとつなげているのかは不明であった。われわれは大脳基底核の特定の神経回路を可逆的に遮断する可逆的神経伝達阻止法を開発し,報酬・忌避行動と意思決定における大脳基底核神経回路機構の解析を進めている。
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