文献詳細
特集 予測と意思決定の神経科学
線虫
著者: 笹倉寛之1 森郁恵1
所属機関: 1名古屋大学大学院 理学研究科 生命理学専攻 分子神経生物学グループ
ページ範囲:P.354 - P.359
文献概要
線虫
線虫は302個の神経細胞からなり,Whiteらによる電子顕微鏡解析から約5,000個のシナプス,約600個のギャップジャンクションからなる全神経接続が明らかにされている2)。哺乳類の神経系で使われている主要な神経伝達物質,グルタミン酸,アセチルコリン,GABA,モノアミン類などが線虫に存在している3-7)。イオンチャネルも,哺乳類のイオンチャネルのホモログが多数存在するが,ゲノム上に電位依存型Na+チャネルの遺伝子は存在せず,線虫では活動電位は生じないと考えられている3)。とは言え,神経回路での速い電気的伝播は可能であり,Ca2+電流が重要な役割を果たしていると考えられる8)。一般に神経細胞内にイオンが流入した後に種々のプロテインキナーゼが活性化されるが,CAMKII,CAMKIV,PKA,PKC,PKG,MAPKなど,哺乳類のプロテインキナーゼのホモログが線虫に多数存在している。
参考文献
掲載誌情報