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文献概要
増大特集 細胞表面受容体
バソプレッシン受容体V1aR,V1bRの生理作用
著者: 中村和昭1 田上昭人1
所属機関: 1国立成育医療研究センター研究所 薬剤治療研究部
ページ範囲:P.392 - P.393
文献購入ページに移動●V1aRとV1bR
アルギニンバソプレッシン(AVP)は9アミノ酸残基からなる神経ペプチドで,視床下部室傍核および視索上核において産生される下垂体後葉ホルモンである。AVP受容体はV1a,V1b(V3)およびV2の三つのサブタイプに分類される。V1a受容体(V1aR)は血管平滑筋,肝臓,副腎,中枢神経系,子宮筋,血小板,腎臓に分布し,中枢神経系では特に中隔,大脳皮質および海馬に分布している。V1b受容体(V1bR)は下垂体前葉,大脳皮質,扁桃体,海馬,膵臓に分布している。V1aR,V1bRおよびV2RのいずれもGタンパク質共役型受容体(GPCR)であり,V1aRおよびV1bRは三量体Gタンパク質Gqと共役し,イノシトール代謝回転とそれに伴う細胞内Ca2+濃度の変化がシグナル伝達機構である。AVPは同じく9アミノ酸残基からなる下垂体後葉ホルモンであるオキシトシン(OXT)と近縁のホルモンであり,両ホルモンは2アミノ酸のみ異なる。受容体間の相同性も高く,ヒトにおいてはAVP/OXT受容体間で42-55%の相同性を有する。さらに,受容体は種間において高度に保存されており,同一受容体の種間での相同性は90%を超える。ヒトにおいて,V1aR,V1bR,V2RおよびOXT受容体(OXTR)はAVPと同程度の親和性で結合する。一方,AVPの各受容体とOXTの結合は弱く,AVP受容体に対するOXTのKi 値はOXTRに対するKi 値の100倍あるいはそれ以上である。このようなリガンド間ならびに受容体間の高い相同性およびリガンド/受容体結合様式は,GPCRがどのようにそのリガンドおよび受容体ごとに特異な機能を発揮しているかを検討する良いモデルとして研究が進められてきた。これまでの検討から,AVP受容体の細胞外領域および膜貫通領域がリガンド-受容体の結合特異性に重要であることが示されている1)。
V1aR遺伝子欠損マウス(V1aR-/-マウス)およびV1bR遺伝子欠損マウス(V1bR-/-マウス)は,様々な表現系を呈し,その解析からV1aRおよびV1bRを介するAVPの新たな生理作用が明らかになってきている1)。
アルギニンバソプレッシン(AVP)は9アミノ酸残基からなる神経ペプチドで,視床下部室傍核および視索上核において産生される下垂体後葉ホルモンである。AVP受容体はV1a,V1b(V3)およびV2の三つのサブタイプに分類される。V1a受容体(V1aR)は血管平滑筋,肝臓,副腎,中枢神経系,子宮筋,血小板,腎臓に分布し,中枢神経系では特に中隔,大脳皮質および海馬に分布している。V1b受容体(V1bR)は下垂体前葉,大脳皮質,扁桃体,海馬,膵臓に分布している。V1aR,V1bRおよびV2RのいずれもGタンパク質共役型受容体(GPCR)であり,V1aRおよびV1bRは三量体Gタンパク質Gqと共役し,イノシトール代謝回転とそれに伴う細胞内Ca2+濃度の変化がシグナル伝達機構である。AVPは同じく9アミノ酸残基からなる下垂体後葉ホルモンであるオキシトシン(OXT)と近縁のホルモンであり,両ホルモンは2アミノ酸のみ異なる。受容体間の相同性も高く,ヒトにおいてはAVP/OXT受容体間で42-55%の相同性を有する。さらに,受容体は種間において高度に保存されており,同一受容体の種間での相同性は90%を超える。ヒトにおいて,V1aR,V1bR,V2RおよびOXT受容体(OXTR)はAVPと同程度の親和性で結合する。一方,AVPの各受容体とOXTの結合は弱く,AVP受容体に対するOXTの
V1aR遺伝子欠損マウス(V1aR-/-マウス)およびV1bR遺伝子欠損マウス(V1bR-/-マウス)は,様々な表現系を呈し,その解析からV1aRおよびV1bRを介するAVPの新たな生理作用が明らかになってきている1)。
参考文献
92:1813-1864, 2012
109:44-49, 2009
429:754-757, 2004
掲載誌情報