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文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻5号

2013年10月発行

増大特集 細胞表面受容体

バソプレシン2型受容体の突然変異に起因する疾患

著者: 佐々木成1

所属機関: 1東京医科歯科大学医歯学総合研究科 腎臓内科学

ページ範囲:P.394 - P.395

文献概要

●バソプレシン2型受容体(V2R)

 抗利尿ホルモンであるバソプレシンの受容体は3種類の異なったタイプ(V1a,V1b,V2)が存在し,7回膜貫通性のG蛋白質結合受容体(GPCR)スーパーファミリーに属し,互いに40-50%の相同性を示す。V2R蛋白質はアミノ酸371残基からなり分子量は40.5kDaである。N端は細胞外に,C端は細胞内に存在し,C端側には幾つかのリン酸化部位が存在する(図1)。V2Rは主に腎臓の集合管に存在し尿濃縮に必須の働きをする1)

 図2に示すように,バソプレシンは集合管主細胞の側底膜に存在するV2Rに結合し,V2RのC端側に結合するG蛋白質(Gs)を活性化する。活性化されたαサブユニット(Gαs)はアデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化し,細胞内cAMPを増加させる。そしてcAMPはプロテインキナーゼAを活性化させる。AQP2は腎集合管の管腔膜に特異的に存在する水チャネルであり,ここでの水透過性を決定している。AQP2はプロテインキナーゼAによって直接リン酸化される蛋白質であり,このリン酸化が引き金になってAQP2は細胞内の貯蔵小胞から管腔膜へ移動し水透過性を増加させ,尿濃縮を亢進させる2)

参考文献

1)Bichet DG:Nephrogenic and central diabetes insipidus. Diseases of the Kidney & Urinary Tract, Ninth Edition, pp2055-2081, eds Coffman TM, Falk RJ, Molitoris BA, Neilson EG, Schrier RW. Lippincott Williams & Wilkins, 2012
2)Noda Y and Sasaki S:Regulation of Water Balance:Urine Concentration and Dilution. Diseases of the Kidney & Urinary Tract, Ninth Edition, pp132-158, eds Coffman TM, Falk RJ, Molitoris BA, Neilson EG, Schrier RW. Lippincott Williams & Wilkins, 2012
359:233-235, 1992
217:605-617, 2008
17:338-344, 2013
352:1884-1890, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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