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文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻5号

2013年10月発行

増大特集 細胞表面受容体

カンナビノイド受容体の視覚による制御

著者: 米田泰輔1 畠義郎1

所属機関: 1鳥取大学大学院医学系研究科 機能再生医科学専攻 生体高次機能学部門

ページ範囲:P.400 - P.401

文献概要

 遺伝情報によって大枠ができあがった神経回路は,周囲の環境や経験によって再編成を受ける。例えば発達期哺乳類において片眼からの視覚入力を遮断すると,その眼は弱視となり大脳皮質一次視覚野(V1)ニューロンは遮蔽眼に対する反応性が低下する。この眼優位可塑性と呼ばれる現象は,臨界期と呼ばれる発達中の一時期に強く観察される。近年この現象に,CB1カンナビノイド受容体(CB1)が必要であることが報告された1)

 内因性カンナビノイド(eCB)システムはポストシナプスからプレシナプスへと逆行性にシナプス伝達を抑制する調節系として知られおり,プレシナプスに存在するCB1が主な受容体として働く2)。eCBシステムはシナプス可塑性を含む多様な現象に関与し,発達期齧歯類のV1においては,CB1がⅡ/Ⅲ,Ⅴ層における興奮性シナプスでのシナプス長期抑圧(LTD)や,Ⅱ/Ⅲ層抑制性シナプスでのLTDへ寄与することが報告されている3,4)。LTDは眼優位可塑性と分子メカニズムを共有することが示唆されており,さらにCB1がⅡ/Ⅲ層の眼優位可塑性に必要であることも報告された1)。これら発達期可塑性への関与から,CB1発現は発達や視覚経験に伴い変化する可能性が考えられる。近年われわれの研究により,発達と視覚経験依存的なCB1発現制御機構が明らかになった5)

参考文献

364:357-367, 2009
89:309-380, 2009
39:641-654, 2003
66:248-259, 2010
8(1):e53082, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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