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増大特集 細胞表面受容体
グレリン受容体(GHS-R)とアンタゴニスト
著者: 上野真吾1 坂田一郎2 坂井貴文2
所属機関: 1東京大学大学院 工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 2埼玉大学大学院 理工学研究科 生命科学部門 理学部生体制御学科
ページ範囲:P.408 - P.409
文献購入ページに移動グレリンは1999年に単離・同定された28アミノ酸残基からなるペプチドホルモンであり,3番目のセリン残基が中鎖脂肪酸で修飾された特徴的な構造をしている1)。グレリンは胃で最も多く産生されるが,他の消化管や膵臓,下垂体,そして生殖腺などで発現していることも報告されている。グレリンは成長ホルモン分泌亢進,消化管運動調節,血糖値調節,体温調節など様々な生理作用を有するが,なかでもグレリンの摂食亢進刺激作用は強力であることや唯一の末梢から分泌される摂食亢進ホルモンであることから,研究が盛んに進められている2)。胃から分泌されたグレリンは摂循環血中を介して間脳視床下部に直接作用し,NPY/AgRPニューロンを活性化することによって摂食を刺激する。このほかにも胃グレリン産生細胞の近傍に存在する求心性迷走神経末端に発現しているグレリン受容体に結合して,シグナルを中枢へ伝えることによって最終的にNPY/AgRPニューロンを活性化して摂食を刺激する経路も存在する。血中グレリン濃度は絶食による交感神経系の興奮で上昇し,摂食により速やかに減少することが明らかとなっている。
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