文献詳細
文献概要
増大特集 細胞表面受容体
霊長類苦味受容体の多様化
著者: 今井啓雄1 筒井圭1
所属機関: 1京都大学霊長類研究所 分子生理研究部門 遺伝子情報分野
ページ範囲:P.430 - P.431
文献購入ページに移動 2000年以降にうま味受容体(TAS1R1/TAS1R3),甘味受容体(TAS1R2/TAS1R3)などの一連のGPCR型受容体ファミリーに属する味覚受容体が発見された。味覚の中でも毒物などの生理活性物質を検知するために重要な苦味はTAS2Rsという遺伝子群によってコードされている1)。ヒトゲノム中ではTAS2Rは主に7番と12番染色体に位置し,合計25個の遺伝子と10個あまりの偽遺伝子が報告されている。最近のゲノム研究の進展により個体別の遺伝子解析が進むと,TAS2Rの変異にも個人差・地域差が存在し,味覚の個人差に影響を与えている可能性が示唆されてきた。また,これらの変異部位を手がかりに,苦味物質の結合部位についても解析が進んできている。有名なのはTAS2R38の遺伝子型とフェニルチオカルバミド(PTC)の受容能の相関で,3か所のSNPが関与していることがわかってきたが,分子メカニズムは不明なままである。
TAS2RはGα-gustducinと共役し,PLCβ2,TRPM5などを介して細胞内Ca2+イオンの上昇を引き起こす。そのため,TAS2Rの機能解析には,主にHEK293細胞でgustducinのC末端44残基を用いたG16/gust44との共発現によるカルシウムイメージング法が用いられ,ヒトのTAS2Rについては天然・人工の化合物との網羅的な相関が見いだされつつある1)。
TAS2RはGα-gustducinと共役し,PLCβ2,TRPM5などを介して細胞内Ca2+イオンの上昇を引き起こす。そのため,TAS2Rの機能解析には,主にHEK293細胞でgustducinのC末端44残基を用いたG16/gust44との共発現によるカルシウムイメージング法が用いられ,ヒトのTAS2Rについては天然・人工の化合物との網羅的な相関が見いだされつつある1)。
参考文献
105:4-13, 2011
8:652-656, 2012
7:e43277, 2012
51:285-289, 2010
9(4):20130409, 2013(doi :10.1098/rsbl.2013.0409.Print 2013 Aug 23.)
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