文献詳細
文献概要
増大特集 細胞表面受容体 )
甘味タンパク質ソーマチンと甘味受容体との応答特性
著者: 桝田哲哉1 谷史人1
所属機関: 1京都大学大学院 農学研究科 食品生物科学専攻 食環境学分野
ページ範囲:P.432 - P.433
文献購入ページに移動ソーマチン(タウマチン)は西アフリカ原産の植物の果実から抽出される207個のアミノ酸残基からなる一本鎖タンパク質である。ヒトの甘味閾値は50nMであり,ショ糖に比べてモル比で10万倍と非常に強い甘味を呈する。ソーマチンには五つのバリアントが存在し,ソーマチンⅠ,Ⅱが構成成分の大半を占める。結晶化のモデルタンパク質としても用いられ,筆者らも近年,1Åの高分解能でソーマチンの構造を決定することに成功した。ソーマチンは三つのドメインからなる(図1)。ドメインⅠは典型的な11個のβ-ストランドで構成され,残りの二つのドメインはジスルフィド結合に富むドメインⅢとドメインⅡからなる1)。筆者らは酵母の発現系を用いて部位特異的変異体を作製しソーマチンの甘味発現部位について解析を行い,クレフト部位を含む面に存在する複数の塩基性アミノ酸残基,とりわけ67番目のリジン残基,82番目のアルギニン残基がソーマチンの甘味発現に重要な役割を果たすことを明らかにした2)。
参考文献
掲載誌情報