文献詳細
増大特集 細胞表面受容体
温度受容体TRPチャネル
著者: 富永真琴1
所属機関: 1自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンスセンター(生理学研究所)細胞生理研究部門
ページ範囲:P.436 - P.437
文献概要
最初の温度受容体TRPチャネルであるカプサイシン受容体TRPV1の1997年の発見以降,16年間で九つのTRPチャネル(TRPV1,TRPV2,TRPV3,TRPV4,TRPM2,TRPM4,TRPM5,TRPM8,TRPA1)に温度感受性があることが示された。2011年にはTRPM3の温度感受性も報告された。これらはTRPV,TRPM,TRPAサブファミリーにまたがっており,それぞれの活性化温度閾値は最も低いTRPA1(17℃以下)から最も高いTRPV2(52℃以上)まで幅広い(図B)。43℃以上の高温刺激と15℃以下の低温刺激は痛みを惹起することから,その温度域に活性化温度閾値があるTRPV1,TRPV2,TRPA1は侵害刺激受容体としても捉えうる。温度受容体TRPチャネルの大きな特徴は,温度以外にも多くのリガンドや他の物理刺激に応答する“多刺激受容体”として機能することである2-5)。
参考文献
掲載誌情報