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文献概要
増大特集 細胞表面受容体
NMDA受容体に対する自己免疫抗体
著者: 筒井幸1 神林崇1 田中恵子2 清水徹男1
所属機関: 1秋田大学大学院医学系研究科 医学専攻 病態制御医学系精神科学 2金沢医科大学 神経内科学教室
ページ範囲:P.442 - P.443
文献購入ページに移動抗NMDA受容体脳炎は2007年,「抗NMDA受容体抗体を有する卵巣奇形腫に随伴する傍腫瘍性脳炎」としてDalmauらによって提唱された1)。若年女性に多く認められ,腫瘍を伴う際は卵巣奇形腫の割合が高いことが知られているが,最近は非腫瘍随伴例のほうが多いと認識されつつある。発熱や頭痛などの非特異的な感冒様症状の後,統合失調症の緊張型の初発を想定させる精神症状を呈する。その後,病期が進むにつれ,意識障害や中枢性の低換気,不随意運動,激しい自律神経症状などの様々な身体症状を生じる。Dalmauらは本疾患の成因が抗Hu抗体などを代表とする古典的な細胞内抗原に対する抗体ではなく,神経細胞の表面抗原抗体(抗NMDA受容体抗体)であることを突き止めた1)。
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