文献詳細
文献概要
増大特集 細胞表面受容体
RET遺伝子異常と癌
著者: 佐々木秀文1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部 腫瘍免疫外科
ページ範囲:P.452 - P.453
文献購入ページに移動 Rearranged during transfection(RET)はRETファミリーに属する受容体型チロシンキナーゼ(receptor tyrosine kinase:RTK)であり,1985年に名古屋大学の高橋らにより,ヒトT細胞リンパ腫より抽出したDNAをNIH3T3マウス線維芽細胞へトランスフェクションする過程で組換えを起こす癌原遺伝子として発見された。RET 遺伝子はヒト第10染色体長腕(10q11.2)に存在し,RET受容体型チロシンキナーゼをコードしており,生理的には種々の神経細胞,腎臓の発生にも重要な役割を果たしている。RETは四つのカドヘリン様ドメイン,システインリッチ(CR)ドメイン,細胞内TK領域ドメインからなる。リガンドであるグリア細胞由来神経因子(glial cell-line derived neurotrophic factor;GDNF)ファミリーが細胞外ドメインに結合すると,CR領域が活性化され二量体を形成することにより自己リン酸化が起こり,Ras-MAPK,PI3-AKTなどのシグナル伝達経路が活性化される。
参考文献
18:382, 2012
28:1182-1192, 2012
1:68-75, 2012
掲載誌情報