増大特集 細胞表面受容体
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表皮形成におけるEGF受容体とエピモルフィン
著者:
萩原奈津美1
葛野菜々子1
平井洋平1
所属機関:
1関西学院大学理工学部 生命科学科
ページ範囲:P.456 - P.457
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チロシンキナーゼ型受容体(epidermal growth factor receptor;EGFR)は上皮系,間葉系,神経系など多様な細胞で発現し,活性化されると細胞の増殖や成長・分化を促すシグナルを伝達する。皮膚ではEGFRのリガンドであるEGF,TGF-α,amphiregrin,epiregulinなどによるEGFRの活性化は表皮細胞の多層構造形成や分化に重要な役割を担うことが知られている。近年,エピモルフィン(シンタキシン2)が小腸上皮細胞においてEGFRを間接的にリン酸化し,MAPKの活性化を介して細胞増殖および生存に関与することが報告された1)。エピモルフィンは通常細胞膜の細胞質側でt-SNAREとして小胞輸送を媒介することで広く知られているが,種々の刺激により一部が細胞外へ分泌され,小腸,乳腺,肝臓,毛包など様々な上皮細胞の形態・分化を制御する2)。ごく最近,細胞外エピモルフィンが表皮細胞内でのEGFRの活性化状態を調節し,その影響は細胞が置かれている微小環境の違いによって大きく異なることが示された3)。