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増大特集 細胞表面受容体 )
非小細胞肺癌とEGFR遺伝子変異
著者: 中田昌男1
所属機関: 1川崎医科大学 呼吸器外科学
ページ範囲:P.458 - P.459
文献購入ページに移動EGFR(epidermal growth factor receptor;上皮成長因子受容体)の発見は古く,1975年に線維芽細胞において,その存在が初めて報告されている。EGFRはchromosome7p12上にコードされている170kDaの膜蛋白質型tyrosine kinase(TK)受容体であり,類似した構造を持つErbB familyの一つである。ErbB familyにはEGFR(ErbB1)のほかにHer-2/neu(ErbB2),HER-3(ErbB3),HER-4(ErbB4)があり,いずれも三つのドメイン(細胞外領域,細胞膜貫通領域,細胞内領域)から成る構造を有している。EGFRは細胞外領域においてリガンドが結合すると,細胞膜上の他のEGFR(または他のErbB family)と二量体を形成して細胞内領域のTKドメインが活性化され,チロシン残基がATPによってリン酸化される。リン酸化されたチロシンは細胞内の種々の蛋白質を活性化し,様々なシグナルが伝達される。活性化されたEGFRによる細胞内シグナル伝達経路の主なものにはRas-Raf-MAPK経路,PI3K-Akt経路,JAK-STAT経路があり,細胞の増殖,成長,生存,抗アポトーシスなどに関与している1)。
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