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文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻5号

2013年10月発行

文献概要

増大特集 細胞表面受容体

CCN2/CTGFによるFGF2-FGFR2結合の修飾

著者: 青山絵理子1 久保田聡2 滝川正春12

所属機関: 1岡山大学歯学部 機能系共同利用施設 2岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 口腔生化学分野

ページ範囲:P.478 - P.479

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 FGFs(fibroblast growth factors)はFGFファミリーと呼ばれる,哺乳類では22種類の構成因子からなる遺伝子群を形成しており,また,その受容体であるFGF受容体(FGF receptors:FGFRs)は4種類の構成因子からなるファミリーを形成している。これらはそれぞれが複数の受容体と結合性を持つことから機能的多様性,重複性に富んでいることで知られている。また,その作用シグナルは様々な細胞の増殖,分化に関与しており,器官形成,創傷治癒,発がん機構など様々な局面において重要な働きを担っている。特に四肢および骨格系の発達において必須の因子であるためFGFおよびFGF受容体の異常による骨格形成不全が数多く報告されている。なかでもFGFR2およびFGFR3の点突然変異による機能獲得型変異(gain of function)はアペール症候群やクルーゾン病などの骨格系の発達異常の原因であることがわかっている1)

 CCN2/CTGF(CCN family protein 2/connective tissue growth factor,以下CCN2)は構造的に類似性を持つCCN familyと呼ばれる一連のタンパク質群に属する,分子量約38kDaの分泌タンパク質である。その遺伝子欠損マウスでは骨形成に異常が生じることや,細胞培養系においてリコンビナントCCN2が軟骨細胞,骨芽細胞,血管内皮細胞,破骨細胞などの増殖,分化を促進することが示されており,CCN2は骨軟骨系の正常な発生や維持に必要な因子として知られている2)。CCN2の注目すべき最大の特徴として,多くの分子との結合を介した独特な作用機構が挙げられる。通常サイトカイン類に代表される分泌タンパク質は,特異的なパートナーである膜タンパク質とリガンド・受容体の関係を形成し一定の生理活性を示す。しかし,これまでのCCN2結合因子の研究から,CCN2は特定の受容体に対するリガンドとして働くのではなく,他の生理活性因子やその受容体などの膜タンパク質と結合することで,それらのシグナルを制御することが明らかになってきている。本稿ではCCN2によるFGF2/FGFR2の結合およびシグナル促進作用に関して筆者らの知見3)を中心に概説する。

参考文献

96:888-896, 2005
2)Perbal B, Takigawa M:CCN proteins:a new family of cell growth and differentiation regulators. Imperial College Press, London, 2005
586:4270-4275, 2012
152:4232-4241, 2011
95:660-673, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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