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文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻5号

2013年10月発行

文献概要

増大特集 細胞表面受容体

神経栄養因子受容体TrkAの三次元分布

著者: 西田倫希1

所属機関: 1大阪大学 超高圧電子顕微鏡センター

ページ範囲:P.500 - P.501

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●NGF刺激に対する分化PC12細胞の細胞内輸送

 神経栄養因子の一つNGF(nerve growth factor;神経成長因子)は,神経細胞の突起伸長,生存維持などにかかわる分化誘導因子であり,その作用は膜1回貫通型受容体TrkA(tyrosine kinase receptor)と高親和的に結合することで作用する。NGFによるTrkAリン酸化は下流のシグナル分子を活性化する一方,NGF-TrkA複合体はクラスリン依存性あるいは非依存性エンドサイトーシスにより内在化され,エンドソームを経てリソソームで分解される。

 筆者はTrkAを細胞膜に発現する神経系細胞株PC12をNGFで分化誘導し,NGFが分化PC12細胞内のTrkA分布に与える影響を検討した1)。酸性環境で蛍光を発するキナクリンをNGFと共に投与すると,蛍光シグナルが細胞体とバリコシティー(神経突起の途中に形成される数珠状の膨らみ)にゆっくりと集まり,蛍光強度も緩やかに増加し続け,刺激45分後には蛍光スポットは細胞全体に分布した。また,電子顕微鏡観察では,電子密度が顕著に増加したリソソームが細胞体やバリコシティーでみられた。さらにTrkAで標識されたバリコシティー数も刺激後に有意な増加を示した。以上からNGF刺激によるキナクリンとTrkAのバリコシティーへの集積は,リソソームによるTrkA分解が細胞体2)だけで起こるのではなく,神経突起のバリコシティーも関連する可能性を示した。そこで電子線トモグラフィーを使いバリコシティーにおけるTrkAの細胞内分布を検討した。

参考文献

351:1-13, 2013
277:38700-38708, 2002
50:549-559, 2006
28:571-587, 2005
18:895-903, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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