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増大特集 細胞表面受容体
終末糖化産物受容体RAGE
著者: 棟居聖一1 山本博1
所属機関: 1金沢大学大学院 血管分子生物学
ページ範囲:P.504 - P.505
文献購入ページに移動 終末糖化産物受容体(receptor for advanced glycated end-products;RAGE)は終末糖化産物(advanced glycated end-products;AGE)の受容体として同定された。AGEはタンパク質が還元糖により非酵素的に糖化,修飾されるメイラード反応で生成される最終産物の総称である。AGEは糖尿病患者やその病変部に蓄積していることが明らかにされて以来,AGEとその受容体RAGEとの相互作用に注目された。その後の研究からAGE-RAGE相互作用は糖尿病合併症に原因的に関与することが実証された。さらに最近,RAGEはAGEのみならずアルツハイマー病において脳に蓄積するアミロイド-β蛋白質,癌転移や炎症との関連が明らかにされているHMGB-1/amphoterin,免疫細胞から分泌される炎症仲介分子S100/calgranulin,白血球の細胞表面にあるβ2インテグリンMac-1,アポトーシス細胞上のphosphatidylserine,グラム陰性菌外膜の構成物質であるlipopolysaccharide(LPS)など様々なリガンドと結合することが明らかにされ,Toll様受容体などと同様にパターン認識受容体として糖尿病以外の疾患,自然免疫,炎症,組織の再生など種々の事象に関与する可能性が示唆されている(図)。この稿ではリガンド-RAGE相互作用を中心に受容体としてのRAGEの機能について概観する。
参考文献
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