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増大特集 細胞表面受容体 )
VEGF受容体Flt-1と最近の知見
著者: 澁谷正史1
所属機関: 1上武大学 医学生理学研究所
ページ範囲:P.516 - P.517
文献購入ページに移動 われわれヒトを含む脊椎動物は閉鎖血管系を持ち各組織に栄養と酸素を供給しているが,血管系を制御する分子機構については,約25年前までほとんど明らかでなかった。また,1970年代に米国Folkman教授が提唱した「固形癌の増殖は腫瘍血管に依存し,血管は新しい制癌剤の標的となる」との仮説についても,分子基盤が不明であった。しかし,1980年代後半の血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)の発見と,その後にわれわれが単離した新しいチロシンキナーゼ受容体Flt-1をきっかけとするVEGF受容体ファミリーの解析により血管制御に関する理解は飛躍的に高まった1-3)。この稿ではVEGFR1/Flt-1の血管制御における2面性,すなわち,主に遊離型タンパク質sFlt-1による血管新生の抑制とFlt-1キナーゼのシグナル伝達を介したマクロファージなどによる病的血管新生・炎症の促進について述べる。また,産科領域で非常に重要な疾患である妊娠高血圧症候群(preeclampsia;PEと略)とsFlt-1の密接な関係なども報告したい。
参考文献
67:281-316, 1995
25:581-611, 2004
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