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文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻6号

2013年12月発行

文献概要

特集 顕微鏡で物を見ることの新しい動き

超解像顕微鏡

著者: 藤田克昌1

所属機関: 1大阪大学大学院工学研究科 精密科学 応用物理学専攻

ページ範囲:P.526 - P.532

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 光学顕微鏡は医学・生物学研究において欠かせないツールである。しかし,光学顕微鏡の持つ空間分解能は,電子顕微鏡や原子間力顕微鏡には到底かなわず,細胞の内部や表面の微細構造,タンパク質の構造変化の観察などには利用されてこなかった。光学顕微鏡の空間分解能は光の持つ波の性質により制限されている。光は電磁波として空間を伝わるため,その空間分布は波の干渉の結果として形成される。このため光を分子や原子レベルまで集光することができない。

 光学顕微鏡の空間分解能について理論的に説明したのはドイツのアッベ(Ernst Abbe, 1940-1905)である。1873年ごろ,彼は光学顕微鏡では光の波長の半分より小さな構造は解像できないことを導いた。その約100年後,共焦点顕微鏡,2光子励起顕微鏡が登場し,若干の空間分解の向上はもたらされたが,光の波動性がもたらす限界を大きくは超えられなかった。その後も光の限界を超えた解像力をもたらす顕微鏡,すなわち超解像顕微鏡の実現に向けて多くの研究者が努力を重ね続け,2006年ごろから多くの超解像技術が目覚ましく発展した1)。それらは光学的に空間分解の理論限界を破ったわけではなく,蛍光分子の発光特性をうまく利用して,その限界以上の空間分解を得ることに成功した。そのため超解像顕微鏡は蛍光顕微鏡をベースにしたものがほとんどである。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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