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特集 顕微鏡で物を見ることの新しい動き
光学顕微鏡への空間光変調器の応用
著者: 寺川進1
所属機関: 1浜松医科大学 メディカルフォトニクス研究センター
ページ範囲:P.584 - P.588
文献購入ページに移動 過去数十年の光学顕微鏡の発展は驚くほどのものである。特に解像度の向上は画期的なものである。そのような発展は目覚ましいが,同時に,顕微鏡応用の拡がりにも目を見張るものがある。かつての顕微鏡が,数ミクロンの厚みに切った標本のみを観察対象としていたのに対し,今では,生きた細胞はおろか,生きた個体を丸ごとを顕微鏡観察の対象とする研究が急速な勢いで拡がっている。そのような観察領域では,回折限界を超える極限の分解能を求めると言うよりは,悪い条件下でもそれなりの画像を得られるようにすることが望まれる。すなわち,組織のより深い部位の観察や,動きの多い不安定な状況での観察を実現したいということになる。このようなニーズに応える手段を探すうちに,天体観察で画像の分解能向上に貢献した適応光学系に大きなヒントを受けた。折しも,液晶を用いた空間光変調器の性能が上がってきており,それを顕微鏡に応用することが光学顕微鏡全体の能力向上に繋がることに思い至った。本稿では,その応用について,これまでの研究結果を含めながら,紹介してみたい。
参考文献
1)松本直也,井上 卓,瀧口 優:特許番号2012-096817
21:1417-1429, 2013
13:2655-2662, 2012
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