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文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻6号

2013年12月発行

文献概要

特集 顕微鏡で物を見ることの新しい動き

遠心偏光顕微鏡の開発と遠心力が生物試料へ及ぼす影響

著者: 合田真1

所属機関: 1名古屋大学 細胞生理学研究センター

ページ範囲:P.602 - P.607

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 地球上のほぼすべての生物は常に重力がかかった環境で進化してきた。そのため,現存する生物で見られる様々な生理学的な現象は重力の存在を前提にして起こっている。なかでもゾウリムシで見られる重力に逆らって移動する負の走地性(geotaxis)や,植物が重力に対して成長する屈地性(geotropism)などは重力がかかわる生理学的な現象としてよく知られている。しかし,実際にはそのような目に見える現象だけでなく,細胞・個体レベルで起こる多くの現象にも重力が関係しているものと想像される。

 遠心顕微鏡は強い遠心力を試料に与えながら観察できるため,重力が関与する生理学的な現象をより際立たせながら解析する実験に用いることができるが,そのほかにも試料内に存在する物質間の結合力や運動エネルギーの測定などにも応用することができる。そのような通常の光学顕微鏡にはない特徴的な機能を備える遠心顕微鏡は1932年にE. N. Harveyによって初めて開発された1)。E. N. Harveyの遠心顕微鏡はレンズなどの光学部品が組み込まれた円形ステージを装備しており,それが試料と共に回転することで,強い遠心力がかかった環境を作り出す仕組みになっていた。そして,このE. N. Harveyの後にも,試料ステージの回転に空気圧を用いることで焦点位置を安定させ,解像度の高い像を観察できるようにしたものや,微分干渉光学系とビデオカメラを用いて高いコントラストで試料像を記録できる仕様のものなど,これまで様々なタイプの遠心顕微鏡が多くの研究者らによって開発された2-4)

参考文献

214:1-24, 1932
21:571-588, 1937
21:571-588, 1937
201:268-272, 1989
201:341-356, 2001
201:357-367, 2001
201:234, 2001
199:212-213, 2000
199:213-214, 2000
103:2971-2976, 2006
97:10020-10025, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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