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文献詳細

雑誌文献

生体の科学64巻6号

2013年12月発行

文献概要

特集 顕微鏡で物を見ることの新しい動き

NV中心磁気顕微鏡

著者: 荒井慧悟1

所属機関: 1マサチューセッツ工科大学 物理学科

ページ範囲:P.608 - P.613

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 生体において鉄は重要な役割を果たすが,脳内で過剰に蓄積された鉄は磁気を持ち,アルツハイマー病やパーキンソン病,ハンチントン病などの神経変性疾患を引き起こす可能性がある1)。ところが今日まで細胞レベルでの鉄の獲得機構やその存在形態はほとんどわかっていない。神経変性疾患の原因をより詳しく探るには,どのようにして細胞は鉄を蓄えるのか,また,どのような条件下で蓄えられた鉄が磁気を発生するのかを明らかにする必要がある。

 この問題に取り組む第一歩として,細胞が作る磁場の画像化を可能にするナノスケール磁気顕微鏡の技術が注目を浴びている。既存の核磁気共鳴画像法(MRI)では,光学顕微鏡と比較して低い空間分解能しか得られないため,細胞レベルでの磁場の可視化は困難であった。2013年,筆者らはダイヤモンド中の窒素・空孔欠陥を磁気センサーとして用いた顕微鏡(以下,NV;nitrogen-vacancy,中心磁気顕微鏡)を開発し,生きた細胞が作る磁場の撮影に成功した2)。本稿では初めに高等生物から細菌に至るまでの,磁気を感知できる生物を紹介する。その中でも特に磁性細菌の特徴に焦点を当てて,その応用の可能性を探る。次にNV中心磁気顕微鏡の仕組みを他の磁場測定技術と対比させて解説する。さらに最新の研究成果と共に未来への展望を議論する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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