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特集 顕微鏡で物を見ることの新しい動き
質量顕微鏡法を用いた生体組織解析
著者: 佐野圭吾1 瀬藤光利1
所属機関: 1浜松医科大学医学部 解剖学講座 細胞生物学分野
ページ範囲:P.614 - P.620
文献購入ページに移動 質量顕微鏡は物質の同定や構造決定に力を発揮する質量分析法と,微細構造解析を行う顕微鏡法を融合させた解析装置である。質量分析によって得られる生化学的情報と位置情報を組み合わせることにより,検出された質量ごとの分布を可視化する質量イメージングを行うことが可能であり,質量イメージング装置の中でイメージングの解像度が肉眼解像度(100μm)を上回るものを特に質量顕微鏡と言う。質量顕微鏡は物質の質量を直接検出するので抗体やプローブなどによる標識を必要としない。このため対象物質を限定することなく,未知の物質も含めた数千に及ぶ生体分子の検出・同定が可能である。この特徴は,これまで見ることのできなかった脂質や低分子化合物の生体内分布についての新たな知見をもたらしている。本稿では質量顕微鏡の原理について説明すると共に,質量顕微鏡によって得られた生体組織解析の知見や今後の展望について紹介する。
参考文献
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