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文献詳細

雑誌文献

生体の科学65巻1号

2014年02月発行

特集 精神疾患の病理機構

ミクログリアとシナプス

著者: 宮本愛喜子1 和気弘明1 鍋倉淳一1

所属機関: 1総合研究大学院大学 生命科学研究科 生理科学専攻,自然科学研究機構 生理学研究所 生体恒常機能発達機構研究部門

ページ範囲:P.32 - P.36

文献概要

 シナプスの異常が精神疾患に大きな影響を与えることがこれまでの研究で明らかになってきている1,2)。これまでシナプス前部における小胞の膜結合に関する分子の発現異常3),シナプス前部と後部を結合する分子の異常4)など,神経細胞間の伝達異常が精神疾患の発症にかかわっていることが示唆されている。一方で,近年ミクログリアが生理的条件下においてシナプスに対して様々な影響を及ぼしていることが知られてきており,ミクログリアの異常によってシナプス伝達に異常を来し,精神疾患に影響を及ぼす可能性が考えられる5)。ミクログリアは中枢神経系において免疫機能を担っているグリア細胞で中枢神経系内の細胞のうち10%程度を占める6,7)。これまで,傷害・病態時のミクログリアは活性化し,傷害・病態部へ遊走,死亡した細胞や細胞片などを貪食によって取り込むなどの役割があることが明らかとなっている8)。一方で正常時においても,これまで“非活性型”と言われてきたラミファイド型ミクログリアが活発にその突起を動かし9-11),シナプスと接触する様子が観察されていて10,11),正常脳におけるミクログリアの働きが明らかになりつつある。本総説ではミクログリアのシナプスに対する影響に焦点を当て,近年のミクログリアとシナプスに関連する報告について解説する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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