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特集 精神疾患の病理機構
ストレスにおけるアラキドン酸由来生理活性脂質の役割
著者: 古屋敷智之1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科 メディカルイノベーションセンター
ページ範囲:P.48 - P.54
文献購入ページに移動 うつ病など精神疾患の発症には,遺伝的素因と共に社会や環境から受ける心理ストレスが重要である。過度のストレスやストレスの遷延化は抑うつ,不安など情動変容を引き起こすが,この機序は不明である。近年の動物研究からストレスによる情動変容にアラキドン酸由来の生理活性脂質,プロスタグランジンE2(PGE2)と内因性カナビノイド(endocannabinoid;eCB)の重要性が示されている1-4)。これら生理活性脂質の情動への関与はヒトを対象とした臨床報告でも示唆されている。例えば,PG合成を阻害する非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs;NSAIDs)の一つcelecoxibの併用は既存の抗うつ薬の治療効果を促進されることが示されている5)。一方,抗肥満薬として期待されたカナビノイド受容体CB1の阻害薬rimonabantは不安やうつのリスクを増大させることも報告された6)。本総説では,ストレスにおけるPGE2とeCBの役割について,動物研究からの最新の知見を紹介する。紙面の制約で引用文献が十分ではないが,ご容赦いただきたい。
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