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特集 細胞の少数性と多様性に挑む―シングルセルアナリシス A.シングルセルアナリシスへ向けた技術開発
拡張ナノ空間を用いたaL-fL高機能分析デバイスの開発
著者: 馬渡和真1 北森武彦1
所属機関: 1東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻 バイオエンジニアリング専攻
ページ範囲:P.127 - P.132
文献購入ページに移動そこで当研究室は世界に先駆けて拡張ナノ空間化学・流体の基盤技術を確立してきた。例えば,ガラス加工・低温接合,aL液体・fL/秒の流体制御,非蛍光性分子zmolの検出などが挙げられる1)。これら新しい研究ツールを用いて拡張ナノ空間の溶液物性を調べた結果,バルクとは異なるユニークな溶液物性を数多く見いだしてきた。例えばプロトン拡散速度の上昇,粘度の上昇,誘電率低下,酵素反応速度の加速,化学平衡のシフトなどが挙げられる。いずれも流路のサイズが数百ナノメートルになると発現するという共通の傾向を示した。これらの結果を総合して,壁面から50nmの領域で水が緩やかに構造化したプロトン移動相モデルを提案してきた。従来の吸着相・バルク相に加えてプロトン移動相を考慮することで溶液全体の平均物性を説明するモデルである。
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