文献詳細
特集 細胞の少数性と多様性に挑む―シングルセルアナリシス
C.シングルセルアナリシスで見えること
文献概要
がんの血行性転移の過程で,循環血液中にがん細胞が流入すると考えられているが,その循環血液中のがん細胞(circulating tumor cell;CTC)を検出する様々な方法が考案されている。最初の報告は1869年に転移性がん患者の剖検で,血液中に腫瘍と同じ細胞が認められたという論文に始まる1)。その後,様々な検出法が考案されたが,CTCは1億-10億個の血液細胞中に1個程度しか存在しないと考えられているため,その検出方法の開発がネックとなっていた。しかし,CTCは採血という比較的侵襲の少ない方法で得られるがん細胞であるため,liquid biopsyの一つの方法として診断,治療法決定(蛋白質発現,遺伝子増幅,遺伝子変異),治療モニタリング,再発モニタリング,耐性メカニズムの検出,治療ターゲットの探索など,がんの存在のみでなく,がんの性質を捉える方法として注目されている。本稿では検出方法の最近の進歩と,臨床的意義,臨床応用の可能性,CTCのシングルセルアナリシスの現状について概説する。
参考文献
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