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連載講座 細胞増殖・7
長期放射線被曝とサイクリンD1
著者: 志村勉1 欅田尚樹1
所属機関: 1国立保健医療科学院 生活環境研究部 衛生環境管理研究分野
ページ範囲:P.176 - P.181
文献購入ページに移動 サイクリンD1は細胞外からの増殖刺激を受けて発現量が増加し,サイクリン依存性キナーゼCDKと複合体を形成して,細胞周期の進行を制御する。われわれは,これまでヒト細胞を用いて長期放射線被曝影響を解析し,単回照射と長期分割照射では異なるサイクリンD1の放射線応答を明らかにした。高線量急性照射では,サイクリンD1は分解され,細胞周期を停止させる。一方,長期分割照射では,サイクリンD1の核外排出と分解経路が抑制され,サイクリンD1は核に蓄積する。この長期分割照射によるサイクリンD1タンパク質の安定化は,正常細胞ではがん遺伝子の活性化によりゲノム不安定性を誘導し,がん細胞においては放射線治療で問題となるがんの獲得放射線耐性にかかわる。本稿では単回照射と長期分割照射で異なるユニークなサイクリンD1の放射線応答を紹介し,その分子機構と生物影響ついて述べる。
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57)Shimura T, Hamada N, Sasatani M et al:Cell Cycle(in press)
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