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仮説と戦略
マイナス鎖にコードされるヒトT細胞白血病ウイルス1型の病原性遺伝子
著者: 松岡雅雄1
所属機関: 1京都大学ウイルス研究所
ページ範囲:P.182 - P.186
文献購入ページに移動 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)はGalloらによって1980年にT細胞株から発見された最初のヒトレトロウイルスである1)。この発見後,HTLV-1は1970年代に高月らによって日本で新たな疾患として提唱された成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia;ATL)2)の原因ウイルスであることが明らかになった3)。吉田らによるHTLV-1全塩基配列の決定により,このウイルスはlong terminal repeat(LTR),gag,pol,envというレトロウイルスに共通の構造以外にenvと3'側LTRの間にpX領域という特殊な配列を有し,複数の調節遺伝子,アクセサリー遺伝子を有することが明らかにされた4)。調節遺伝子であるtax は,その多彩な転写活性化能と発がん活性によってATLの責任遺伝子であると推測されたが,ATL細胞でTaxは,しばしば発現できない変化が起こっていることから,他のウイルス遺伝子の関与が疑われてきた。本稿ではHTLV-1プロウイルスのマイナス鎖にコードされるHTLV-1 bZIP factor(HBZ )遺伝子のHTLV-1関連疾患病態における役割に関して概説する。
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