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特集 器官の発生と再生の基礎
網膜の発生研究と再生医療への応用
著者: 渡邉哲史1 大森義裕1 古川貴久1
所属機関: 1大阪大学蛋白質研究所 分子発生学研究室
ページ範囲:P.220 - P.225
文献購入ページに移動遺伝学的な解析が進み,網膜初期発生にかかわる転写因子や分泌因子など重要な因子が多く明らかにされている。最近では分子メカニズムについての知見を活用し,ES細胞などの多能性幹細胞から網膜細胞および組織を誘導する研究が進んでいる。本稿では網膜初期発生とその分子機構について述べた後,多能性幹細胞からの網膜細胞誘導に関するこれまでの知見について述べる。また,ヒトの場合,感覚情報の大部分を視覚に依存していることから,網膜変性疾患による視覚異常は日常生活に大きな支障を来す。網膜変性疾患の有効な治療法がないため,細胞移植による治療に向けた再生医療研究は注目を集めている。これに関して,後半では網膜変性疾患に対する細胞移植の基礎研究について今まで報告された知見を概説する。
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