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特集 器官の発生と再生の基礎
肝臓構築・機能発現における細胞間相互作用
著者: 塩尻信義1
所属機関: 1静岡大学大学院 理学研究科 生物科学専攻
ページ範囲:P.238 - P.243
文献購入ページに移動 ヒトES細胞,さらにはiPS細胞の開発により,患者自身の細胞から種々の臓器を作り出し,これを治療に用いるという再生医療に現実味が増してきた。ES細胞やiPS細胞からの臓器作出に関しては,肝臓を含め種々の臓器が作出されつつあるが,その中で肝臓は作出が難しい臓器とされている。その理由は完全に明らかではないが,発生における肝臓形成過程には複雑な細胞間相互作用が必要なためである可能性がある。他方,最近の目覚ましい分子生物学的アプローチ,特に遺伝子欠失技術の発展により,細胞種および時期特異的に発現遺伝子を制御できる時代となり,これにより肝臓発生における細胞間相互作用の分子メカニズムが明らかになりつつある。また,肝臓を構成する各細胞種を単離するための特異的な細胞表面マーカーも報告され,FACSやMACSによる細胞単離と培養系を用いた肝臓形成研究も進展している。本稿では,胎生期マウスを用いた肝臓構築・機能発現における細胞間相互作用に関する研究の現状を紹介したい。
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